闘病日誌

生きてえ

8/12~8/13 魚河岸山はら~黎明編~

 

夕から夜勤。

夕に起きる。

相当熟睡したのか一発も起きずに夕方まで寝続けた。

起きたら遮光カーテンが外れてて日光が入りまくりになっており体がドロドロになってた。

この時期は夕方でも油断すると部屋の中でドロドロになってしまう。

シャワーを浴びてスッキリして出勤。

一歩外出ただけでまたドロドロになった。夏の日光に人間は抗えない。

 

仕事。

出勤した時点での仕事見込み見たらあっ絶対今日クソヒマなやつじゃ~んやった~って喜んでたら忙しさが前半に密集してて普通に忙しかった。期待を裏切られた。損害賠償を請求する。

新入社員と一緒の夜勤だったので仕事見てやってくれ~と言われたけどおれもこの部署入ってからの期間は新入社員並なので「これはこうやるといいんじゃないかな~知らんけど」「そこはこうなんじゃないかな~わからんけど」とかいうフワッフワな指導をする上司になってしまった。サイアク上司か?

前半クソ忙しかった分後半はマジでやることなかったのでいつもより休憩をたっぷり取れた。

ゆっくり寝るぞ~と思ったんだけどドル部の動画を見始めたら一瞬で休憩時間が一瞬で消失してしまった。Vに人生を狂わされています。

定時でさっさと退社。

 

帰宅。

夕方から予定があるので早く寝るぞ~と思ってたんだけど楽しみすぎて眠れなかったので結局寝ずに時間になってしまった。小学生なので・・・

眠気を引きずって本日の集合場所へ。

 

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barzam154.hatenablog.com

 

かの有名バーチャルユーチュバー、マシーナリーとも子氏(バーザムさんって誰?)が寄稿したこの記事を読んでからず~っと行きたいな~と思っていた店がここ、築地魚がし山はらである。

とは言え氏の記事にある通りメシに15000円をブチ込むのは中々ハードルが高い。15000円はお金ですからね。10連5回分です(最悪)

店の性質上一人で行くわけにも行かず悶々としていた。

夏になりボーナスが入って気がデカくなっているうちに「魚食って天国行こうぜ!!!」と同志を募った結果6人の飢えた男たちが集まった。一人は15000円の魚を食うために30000円の旅費を使って関西から駆けつけた。彼は狂っていた。

斯くしてサカナ・パラダイスが幕を開けたのであった・・・

 

 

店はこの6畳強ぐらいの個室一室のみ。

客もおれたち一組しかいない。

”職人”のオーラを放つ店主に挨拶され開幕。

「生きて帰れるか?」「下手に粗相したら出禁になりそう」「今日はシモネタ禁止の方向で・・・」などと緊張感が高まってくる。

 

 

オシャンな先付けから開幕。

つぶ貝が既にかなりうまくて期待が高まる。まるで磯臭くなくうまあじが広がる。

隣のジュレ的なものはなんか・・・上品な味。料理!って感じがします(オワ)

 

酒と先付けで胃のエンジンがかかってきたところで次の皿が出てくる。

 

 

なん・・・なんだこれは・・・バベルの塔か?

うまいものってやっぱり視覚的なものもあると思うんですけど、山盛りの刺身っていうのはやっぱり無条件で興奮してしまうわけですよ。我々ジャパニーズのDNAに刻まれている。

食べる前に店主が懇切丁寧な解説をしてくれる。「うちの刺身は最強(意訳)」「うちのウニに慣れた客が他の店でウニ食ったら吐いた(意訳)」などと天空までハードルを上げてきておいおいイキリ店主か?と訝しみながら実食。

 

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高く設定されたハードルをすっ飛ばして宇宙までぶっ飛んでしまった。

今まで食べてきた”刺身”とは一体何だったのか?と人生を振り返ざるを得ない味がした。

タイはありえんぐらい味が濃いし(今まで白身魚は全てしょうゆとワサビの味しかしないと思ってた)赤身はスーーーーーーッと口の中で溶けたと思ったら激烈な旨みが爆発する。

赤身には塩を付けて食べてみてくださいと言われたので食ってみたらあまりに自分の知っているマグロの味の知識とかけ離れた味がするので笑ってしまった。みなさんマグロの赤身に塩つけて食ったことありますか?おれはありますよ。

大ボスクラスの大トロは完全に”魚”の味を逸脱した味がする。口に入れた瞬間未知の脂の味と香りが一瞬にして口内を蹂躙し一瞬にして消えて永久に味が舌の上に残る。

本当に味の質が動物性の脂というよりは超上品にしたマカダミアナッツみたいなサラリとした脂なんですよね。マシーナリーとも子は正しかった。

大トリのウニは最早この世に存在する食物から一段階アセンションした存在なのでは?と思うぐらい徳の高い味。

臭みなど微塵もなく、単純な旨みと甘さが口の中を優しく撫でる。

参加者全員の衝撃度はこのウニが最もデカく、全員が口にした瞬間発狂していました。

なんでも箱に入っていない=ミョウバン処理をしていない殻から出したばかりのウニを使っているらしい。箱入りでないウニはハズレを引くリスクも高いらしいがそれでもやはり格別にうまいとのことです。知ってる!築地魚河岸三代目で読んだから。

これからの人生で「君はウニ食ったことある?おれはあるよ でも君が今まで食べていたのはミョウバンではないのかな?」というマウントが取れるようになった。

他にもマゴチやホタテ、クエの刺身などがあり幸福度が一口ごとに倍々ペースで上がっていく。

この時点で全員「アアーーアーアー」「生きててよかった(泣く)」「魚って・・・味がする!!!!」「肉よりうまい」などと感動の声を上げていました。

 

刺身の時点でもう天井近い満足度が得られていたが本番はこれからだった。

 

 

 

机の上にダライアスが来た。

店に行く前にみんなで話していたのが「塩焼きとか煮付けみたいなシンプルな料理をお高い料理店で食ったらどうなるのか?」ということで、食べる前から期待が高かったメニュー。

 

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当然のごとくうまい。

焼き魚は頭の先から尾の先までしっとりとしていてまるでパサつきを感じさせない。

塩水に漬けてから焼いているらしく正にいい塩梅の味が身全体に染み込んでいて何もつけなくてもめちゃめちゃにうまい。

特に皮のうまさが犯罪レベルで全員が山賊のように奪い合って食べた。

「おい!!!このプルプルの部位がうまい!!」「皮のこの下の部分がうまい!!!」「魚の目玉を食うと頭がよくなり良い!!!」などとおいしい場所のトレジャーハント的な楽しみもありエンタメ性も高い。うまいと言われた箇所はもれなく3秒以内に消失していました。

魚の塩焼きというこの上ないシンプルな調理法なのに立派に”料理”としての格があるのがすごい。

煮魚もキンメダイという高級な魚のポテンシャルを15000000%活かしきったうまさ。

おれも自分で作ったキンメの煮付けうめ~つって食ってたけどこれと比べたら魚の泥水煮込みと変わらねえんだよな。

ありえんぐらい身離れがよくサクサクと食えてしまうのでこっちも一瞬で消失した。

小骨が気になるとかそんなことは一切なくというかむしろ小骨をしゃぶれ!!!と店員のおばあちゃんから指導があったため喜々としてしゃぶる。おれに子供が生まれたらこの骨をおしゃぶりにして育児をしたい。

煮汁が本当にしみじみとしたうまさで酒飲みの参加者が「これだけで無限に酒が飲めてしまう・・・・助けてくれ・・・・・」とレイプ目になりながら一生日本酒を飲んでいた。世界一幸せな無間地獄かよ。

魚のプロが本気でスタンダードな魚料理を作るとここまで高尚な味になるんだな~

 

酒とうまい魚で天上の気分に浸っているところに店主が登場。

「当店おすすめのカラスミがあるんですがいかがでしょうか?」と提案してくる。

大体こういう店側からの提案って濁して断っちゃうことのが多いんですけどこの時点で全員の店主への信頼感が親より上だったと思われるので「や~ん♥食べる~~♥」と二つ返事で追加オーダー。

ホストに貢ぐ女の気持ちってこういう感じなんですかね。

 

 

見た目が既に高尚すぎる。徳の高そうな食べ物、人生であまり見る機会がないよ。

実はカラスミをそのまま食べたことは今までの人生で一番なく、パスタとかの上に粉で乗っかってるのは食べたことがあるのですがそのときは「何この黄色い粉?飾りか?」と思うぐらいで味を感じ取っていたとは言えませんでした(味覚が完全にオワ)

生のものと炙りのものが出てきたのでそれぞれ実食。

 

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自分の味覚の上限値を超える味の情報量が口に流れ込んできて脳ミソがバグった。

とにかく複雑で濃いうまみが脳天を直撃する。

本当に貧乏でボキャが終わってるのでうまく味を説明できないんですけど「味のテクスチャーが4DXになったタラコ」みたいな味がします。わかってくれ。

なんでも普通はカラスミって塩辛く作るものを塩っぽさを抑えて食べやすい感じにしているらしい。

作るのに3年ぐらいかかると聞いて急におれは今恐ろしいものを食べているのではという気持ちが増してきた。おれは3年経っても何も成長しないがカラスミはこんなにおいしくなれるので偉いね・・・

これを真ん中のはちみつ(このはちみつ自体がもう既にうまい)に漬けて食べるとま~~~天才。本当に天才~~~!!!って味がする。

普通カラスミにはちみつ漬けてみよう!って思いますか?狂人の発想ですねって言ったら店主も「私は狂人です しかし一線を超えなくては一段上の料理人になれないのです」とかいう美味しんぼみたいなことを言い出した。トゥンク・・・

炙ったやつも火を入れることにより脂が活性化しあーーうまいうまいうまいうまいしか言うことない。

酒を飲まないおれでもめちゃくちゃおいしく感じたけど酒飲み勢は感涙しながら日本酒と焼酎をバカバカ開けていた。

 

コースも佳境に入りラスボスが登場してくる。

 

 

威圧感のある円盤が卓上に召喚された。

個人的な感情なんですけど、和食コースにおける最後に出てくるご飯もの、後半お腹いっぱいになってるところで出てきてあんまりおいしくないとゲンナリしてしまうので印象がよろしくない。

しかしこの土鍋ご飯は土鍋を開けた瞬間からミョウガ穴子の爽やかな香りが立ち上り満腹だった胃袋にまた食欲を目覚めさせるパワーを放っていた。

この段階で何食ってもうまかったのでまあ絶対うめえだろと思ってはいたのですが。

 

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はい優勝~~~~~~~~~

穴子の優しい味わいとオクラとミョウガが渾然一体となりご飯物を食べていると思えないほどスルスルと食べることができる。

満腹だったはずの胃袋が「もっとよこせ!!!一生これ食わせろ!!!!」と暴れているのを感じる。

鱧のお吸い物も実に滋味豊かな味わい。魚のダシ以外一切入ってないんだけどそれでもうまみを感じ取れる。

普段濃い味のものばっか食ってバカ舌になってる自覚があったんだけどそんなおれでも「ああ・・・魚のダシってこんなうまいんだ・・・」と思うことができる。

この戦いを通じておれの舌もエボリューションしたのかもしれん。

二杯目のご飯にはついてきた熱々のダシをかけてダシ茶漬けにして食べる。

このダシをかけることによってこのごはんに含まれる全ての要素が一気に結合し、オクラは水分を吸ってヌルヌル進化を遂げまったく別の料理になりあーウマイウマイ。

料理の味っていうのは積み重ねじゃなくて組み合わせなんだなあ・・・ってことを思い知らされた。

 

 

最後に軽いお茶菓子を食してこのゴールド・エクスペリエンスは幕を閉じた。

全員が「ここで死ぬなら本望」「ここに住みたい・・・」「魚ァ^~」などの感想を垂れ流しながら満ち足りた顔をしていた。

完全個室(というかおれたちしか店に客がいない)というシチュエーションもあったと思うけど今までしてきた食事経験を遥かに上回る経験だった。

店主とおばあちゃんもメチャクチャにいい人でこの人達の人柄も合わせて経験のレベルが一段階上がっていた。

丁寧に料理の解説をしてくれたり声をかけてくれたり、高級店にいるはずなのにものすごくリラックスできる。これがOMOTENASIなのですね・・・

去り際に店主が「夜ね、包丁を研ぐんですけどこれが結構大変な作業で でも帰ってくれるお客さんが笑顔だと研ぐ手が驚くほど軽くなるんですよね」ってマンガみたいなセリフを言うので完全に惚れてしまった。築地魚河岸三代目に出演してても違和感ゼロですよ。

会計は一人頭20000弱だったのですがかなりはしゃいで酒を飲んでいたのでむしろ「安い!!」「こんなんでいいんですか!?」と口々に言い合う結果になりました。

参加者全員で金を貯めて絶対にまた来るぞ!!!!と誓いを立てて退店。生きる理由がまた一つ増えた。

間違いなく今までの人生史上トップ3に入る食事体験でした。

 

帰宅。

満足感と眠気で一気に糸が切れて寝落ち。

ブログを書いていたら朝になった。

闘病日誌は魚河岸山はらをおすすめしています。

 

終わり